恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「……はっ……はっ……はぁぁ。良かった。まだ5分前だ。」
後片付けを急いで終えて、駆け足で待ち合わせ場所の中庭に着いたのは、約束の時間の5分前だった。
辺りは夕闇から暗闇へと形を変えて、灯りが無ければ何も見えないほど。
でも、中庭のど真ん中に、強烈な自己主張をしている真っ赤な炎がある。
炎の周りには、人、人、人。カップルで踊る人達や、踊らずにただ喋っているだけの人達、輪から少し距離を置いて、炎を見ている人もいた。
ここに集まっている人達は、きっと文化祭が終わって欲しくないと願っているんだろう。
だから、終わるギリギリまで、学校に残って、雰囲気を、友や恋人と過ごす時間を楽しんでいる。
燃え盛る赤をじっと見ながら、そんな事を考えていた。
携帯を開いて時計を見る。時刻は7時。成瀬君は…まだ来ていなかった。