恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

「この携帯には、100件以上の友達のメアドと電話番号が入ってる。」


それは成瀬君の、今までの出会いと別れの集大成。


「でも、ただ携帯に登録しているだけ。全員からメールや電話がきたことなんて…ない。」


「それに、いつか会おうって約束しても、すぐ転校して場所を転々とするから、その約束はいつの間にか消えて、無かったことになる。」


果たせない約束、守れない約束。それが成瀬君に重くのしかかって、「約束」が怖くなった。

他の誰かと「繋がる」ことが怖くなった。


「綾瀬の誘いは正直嬉しかったよ。でも、踊って、仲良くなって、その先はどうなる?
来週の火曜日には、俺は転校して遠くへ行ってしまうんだぞ?」


「そう考えると怖くなった。仲良くなってすぐお別れなんて、ただ、別れた時の寂しさが増えるだけじゃないか。」


繰り返される出会いと別れ。それは成瀬君の心をゆっくりと削っていって、別れることに異常なまでの怯えを生み出させた。


でも、成瀬君は1つだけ間違ってる。人は、別れて全て終わるってわけじゃない。
それを教えるために、私は成瀬君の後ろ姿へと近付いていった。
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