恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「ねえ、成瀬君?」
成瀬君との距離を詰めて、隣に並ぶ。
「本当は、皆と『繋がり』たいって思ってるでしょう?」
今までの話を統合すると、こんな結論が出るはずがない。
だけど、私はこんな結論を出すのに充分な証拠を持っている。
「まさか。さっきも言っただろ。約束も守れない、すぐに別れてしまうのに繋がりなんて持てるわけがない。」
「じゃあ、どうして帰らなかったの?フォークダンスは自由参加のはずなのに。」
「成瀬君が今、ここにいること」
それが私の持っている証拠だ。その証拠は、無意識にここにいる成瀬君には絶対にわからない。
「……」
だから、成瀬君は呆気に取られて無言で私を見ている。
どうして自分がここにいるのか、ここで一体何がしたかったのかが、わからないから。
「それに成瀬君、ずっと、下の踊ってる人見てるじゃない。」
私はずっと火を見ているのだと思っていた。でも隣に並んで、目を見て気付いた。
その目は絶えず動いていて、人の動きや流れを追っていた。
「遠くから人をみること」それが成瀬君のできる精一杯だった。人と繋がりたいけど、繋がる資格が無いと思い込んでいる成瀬君の最善の選択。
成瀬君からすれば最善の選択だけど、私からすれば、それは悲しすぎる選択だった。
…だから、私は教えてあげたい。もっといい選択肢があるよって。