恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

『せーの』

2人声を合わせ、リズムをとって、タイミングを計って、第1歩を踏み出す。


「うわっ!」
「きゃあ!」


2人の声はピッタリ。なのに、出した足は、私が左で、成瀬君が右っていうチグハグさ。

でも、今はそれでいい。私と成瀬君の時間は始まったばかりなのだから。


「普通は右足からじゃないのか?」と、成瀬君。

「え?だって幼稚園の時は左からだったよ?」と、私。


2人とも、そんなのは些細なことだってわかってる。だから、あっという間にそれは笑いへと変わっていく。


「じゃあ、左からでいこうか。」
「うん。」


体勢を立て直し、再び踊り出す。最初の1歩さえ上手くいけば、後は勢いで何とかなるだろう。


「そこで、ぐるっと回って綾瀬。」


繋いだ手を上にあげて、私が回れるように下準備をしながら、成瀬君がリードする。


「ん。わかった。」


くるりと一回転。この前は自信無いって言ってたのに、成瀬君はしっかりリードできていた。

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