恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
お母さんが最後に見せてくれた笑顔は、成瀬君の笑顔によく似ていて、親子ってこんな所も似るのだなとしみじみ思ってしまった。
小柄で元気でちょっぴりお茶目で。そんなお母さんに迎えられて、誘われて良かったなと心から思った。
それに成瀬君のアタフタしてる所も見れたしね。
「こちら良く冷えた麦茶になりまーす。」
成瀬君がお盆に麦茶を載せて、まるでウェイターの様にやってくる。
テーブルが濡れないように、コースターを敷いてから麦茶を置く。浮いた2つの氷が、互いにぶつかり合って綺麗な音を立てた。
「そしてこちらが、私のとっておきのおせんべいになりまーす。」
続けて、成瀬君のお母さんがテーブルの中心に、おせんべいの沢山入った器を置く。
醤油の良い香りが鼻をくすぐり、忘れかけていた空腹を思い出させる。
「続けて出てくるなって!まるで、コンビみたいになってるじゃん!」
「いいじゃないの、親子なんだし。折角とっておきを出したんだし、さっさと食べちゃいましょう。綾瀬さんはおせんべい好き?」
「はい。お菓子は結構何でも食べますから。ありがとうございます。」
3人が三角形の頂点になるような感じで、椅子に座って、おせんべいに手を伸ばし始める。