恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
どきっ
私はピーマンへと伸ばした箸が、成瀬君はイカへと伸ばした箸が同時に止まる。
こういう時の成瀬君は、嘘が吐けないことを私はよく知っている。
「い、いや・・・ちょっと優雅にダンスを・・・」
ほらね?嘘を吐こうと頑張って考えてたみたいだけど、やっぱりダメだったみたい。
きっと嘘を吐いても、すぐに見破られるからと思って真実を話したんだと思う。
「なるほど。じゃあシンデレラがいたわけね。ダンスは1人じゃ踊れないでしょ?」
それは成瀬君のお母さんも分かっているらしく、少しずつ核心に近付く為に、質問を重ねてくる。攻め所をきっちりと押さえていて、さすがと言ったところ。
「・・・シンデレラですか?」
こんな質問を私がしてしまった時点で、「そのシンデレラは私です」と自白してしまっているのと同じだったけれど、それを聞かずにはいられなかった。
だって、シンデレラといったら、お姫様みたいな綺麗なドレスを着て、ガラスの靴を履いて、それはもう優雅で華やかで・・・そんなイメージしか無かったから。