恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~


「時間だぞ。テスト用紙回収。」


タイムアップのホイッスル。
教室から、緊張が一気に抜け落ちて、落ち着いた雰囲気になる。


あーあ、結局白紙のままだったな。
答えは分かってたんだけど、記入する気が全く起きなかった。


後ろからテスト用紙が回ってくる。
裏返しにして重ねて、前の席の成瀬君に手渡しする。


今、私の前に居る成瀬君が一週間後に居なくなると思うと
気分が沈む。


まだ、そんなに仲が良い訳でもないし、想いを伝えてもいない。
席が近くて、たまにお喋りする…そんな関係。


結局、私の気持ちが、勝手に一人歩きしているだけなのだ。
きっと成瀬君は、私の事なんか気にかけてくれていない。


でも、私は成瀬君の言動で一喜一憂してる。
笑いかけてくれたら嬉しいし、話せない日は悲しくなる。


「ねぇ、コト~、これどういう意味だったっけ?」


ミィが問題用紙の一文を指差しながら、私に聞いてくる。


You made me sad.


思わず笑いが零れる。
この英文が今の状況にあまりにピッタリだったから。


「あなたは私を悲しくさせた。」


ミィに答えを教えてあげて、私は窓際のグラウンドへと目を向けた。


英語の問題はこんなに簡単に答えが出るのに、
私の恋のゆくえの答えは、これっぽっちも出やしなかった。
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