恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
第4幕 魔法使いと恋愛喫茶店と3000円
最悪のスタートダッシュ
「おかーさーん!どうして起こしてくれなかったのよ!?」
「あのねぇ、何度も起きなさいって、私は言いました。」
現在、朝の8時半。いつもより30分遅く起きた私は、いつもの3倍速で学校へ行く準備をしている。
「あー、でも8時半なら走れば間に合うんじゃない?ほら、ダッシュダッシュ!」
パンパンと手を叩いて、私を急がせる。洗い物の最中の濡れた手から水滴が飛び散って、私の顔に降りかかった。
「わかってるって!お母さん、手拭いてきてよ。水が飛んでくるよ、もう。」
「顔が洗えるし、丁度いいじゃない。」
「もう、洗った!!それじゃ、いってきます。」
顔にかかった数滴の水滴を制服で拭いながら、トントンと靴を履く。
時間が無い時には、履き慣れている靴を履く時間さえ、勿体ない。
「いってらっしゃい、車に気をつけてね。」
お母さんが外出する時に、子どもにかける言葉第1位を背に受けながら、私は学校へと走り始めた。