恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「・・・はぁっ・・・はぁっ・・・はっ・・・」
好きになって1年間は、ただ遠くから見つめているだけでした。
遠くから見つめているだけで十分だと、それでいいのだと、自分の気持ちをグッと抑え込んで我慢して、嘘をつきました。
学校と自分の家の中間地点にある、公園が見えてくる。
口と鼻、両方から必死で酸素を取り込む。そうしないと現状のスピードが維持できない。
でも、貴方が転校することを知ってから、この一週間、一生懸命貴方に近付きました。
それは、私にとってはとても怖いことで、とても勇気のいることだったけれど、それ以上に貴方と仲良くなって、距離が近付いていくことに喜びを感じていました。
風で目が乾く。足は、ただペダルを漕いで推進力を生み出す為の機械と化している。
近付いていく距離に喜びを感じていた私は、同時に近付きすぎることの怖さも感じていました。
この距離が、やがて離れていくことが嫌で嫌でしょうがなかったのです。
離れていくことが避けられないなら、近付きすぎないように『繋がり』すぎないように、私は想いを伝えることをやめました。
ようやく自分の家が見えてきた。駅までは残り半分といったところ。商店街への道は沢山あって、どれも目的地に着くのだけれど、到着までの時間が5分から違ってくる。
ここで、皆から貰ったアドバイスが役に立つ。事前に、商店街までの最短ルートを調べてくれていた皆に感謝しながら、4つに分かれている道の、左から2番目へ自転車を吸い込ませる。