恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

「この喫茶店、名前がついてないんだけど。」



普通なら、どこかに喫茶店の名前が書かれた、プレートや看板が置いてあるはずなのに、ここには、それが無かった。



はたから見れば、ただのログハウスみたいに見えてしまうと思う。


「店長が名前付け忘れちゃったんじゃないの?それともお金が無くって、このまんまにしちゃったとか?まあ、そんな事はどうでもいいじゃん。それじゃ、恋喫にさっさと入っちゃおうよ。」


ミィは早く入りたくてウズウズしているらしく、さっきから足が落ち着かない。というか今、聞き慣れない言葉を聞いたような気がするんだけど。


「ね、レンキツって何?」


「恋愛喫茶店!略して恋喫!!漫画喫茶も漫喫って言うじゃない。それと同じだよ。恋や愛の話聞いてもらうんだし、ピッタリの名前じゃない。ほら、入る入る。」


背中をグイグイと押されながら、私とミィは恋愛喫茶店の入り口の戸をゆっくりと引いた。

カランとベルの音が鳴って、フローリングの床に反響する。


「いらっしゃいませ。」


反響した音に呼応するかのように、背の高い男の人が、綺麗なお辞儀をして私達を迎え入れた。


「こちらへどうぞ。」


案内されて、店内を歩いていく。木の良い香りと、お菓子の甘い匂いが鼻をくすぐる。喫茶店というより、ケーキ屋に来たみたいだった。


男の人は私服にエプロンというかなりラフな格好で、ウエイターというよりはマスターに近い感じ。髪は短く整えられて、清潔な感じを受ける。


私達以外にお客様はいなかった。店の真ん中にある席に案内するということは、私達がメインのお客様だということなのだろうか?

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