恋愛喫茶店 ～恋と一緒にスイーツを～

「こちら、ガトーショコラでございます。」


お皿に乗ったガトーショコラが２つ、私とミィの前に置かれる。


ケーキの隣には生クリームが添えられていて、好きな量だけ付けて食べて下さいということらしい。


ガトーショコラは簡単に言うと、チョコレートケーキだ。焼きっぱなしで簡単に作れて、外はサックリ、中はシットリの焼き菓子の王道である。

・・・と『ガトーショコラって何？』と質問したミィにマスターが教えていた。


「じゃあ、簡単に作れるんですね～。私にも作れるかなぁ？」


簡単だと聞いて、ミィは自分で作る気になったらしい。独り言とも、質問とも取れる口調で喋りながら、ケーキをフォークでツンツンとつついている。


「よかったら、後でレシピお渡ししますよ。本当に簡単ですから、家でゼヒ作って見てください。」


「ふふ、ふふふふ。」


ミィがニヤニヤと笑っている。それはもうニヤニヤと。その表情には喜びしかないような笑顔で。


「ど、どうしたの？ミィ？」


「どうしたって、これをマスターすれば、男にモテるわよ～。男は女の子の手料理に弱いって、雑誌にも書いてあったし、自分でも食べられるし、お菓子作りは上手くなるし、１つの石で３匹の鳥を落とせるってことじゃない！」


「・・・」


ミィがニヤニヤと笑っている。それはもうニヤニヤと。その表情を良く見ると、喜びの他にほんの少しの下心が混じっていた。