恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
「ここのガトーショコラは、入れるチョコレートを結構苦めにしてるんですよ。そのまま食べると苦くて、生クリームと一緒に食べると、丁度良いくらいになるようにしています。」
私はフォークを置いて話に聞き入っていた。ミィは味を覚える為に、食べるのに夢中で話半分に聞いているような感じだった。
「でも、隣に添える生クリームは少し少なめにしてあるので、ずっと生クリームと一緒に食べていると・・・」
そう言うとマスターはミィの方へ目を向ける。つられて、私もミィの方を見る。
「あ、生クリームが無くなっちゃったぁ~。」
ケーキが残り半分の所で、生クリームが無くなってしまったミィが途方に暮れていた。
「と、まぁ、こうなっちゃうんですよね。貴方なら残ったケーキをどうしますか?」
マスターの目はミィから私へ。もう生クリームが無いのなら、答えは1つしかなく、私の答えは決まっていた。
「それは・・・苦いのも美味しいですし、少し苦いのを我慢して食べます。」
私の答えに満足したのか、マスターは深く大きく頷きながら、正解です、と言った。
「この、ガトーショコラは人生みたいなものです。」
「人生?」