溺愛ごっこ
すぐに返事できなかった。

「何よ、未練タラタラみたいな?

だったらなおさらだ。

一途な亜美ちゃんは今すぐに浮気者と別れて、今すぐに幸せな恋をするべき。

何なら俺が話をつけてやろうか?」

「…いい」

首を横に振って答えた。

「話をつけることくらい、自分でもできるから」

「そう?」

気だるい腕でシーツをかき集め、まだ熱い躰に巻いた。

「ハハ、猫みてェ」

久世の手が頭をなでる。
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