溺愛ごっこ
彼氏が久世に視線を向ける。

今にも殴りかかってきそうな怒りのオーラを出しながら。

「おっと、殴ったら傷害罪で訴えちゃうからね?

弁護士の知り合いがいるんだ」

久世がペロリと舌を出した。

「目撃者もいることだし」

久世はあたしに視線を向けた。

「テメー…」

彼氏の声が震えている。

「おいおい、逆ギレはジョーダンにしてくれよ。

って言うか、フツーは亜美ちゃんが怒ると思うんだ。

あんたが浮気したから。

なのに逆ギレって……ホンット、同じ男として最ッ低」

久世はやれやれと言うように両手をあげた。
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