溺愛ごっこ
男はポリッと指で頬をかくと、
「まあ…聞いてやろうか?

オネーサンの健康も心配だし」

「亜美」

「うぇ?」

「オネーサンじゃなくて、山路亜美(ヤマジアミ)。

名前くらいあるわ。

それに、あたしオネーサンって呼ばれる程の年齢(トシ)じゃないし」

「その様子だと、よっぽどみたいね…」

男は苦笑いをした後、
「俺は久世」

「クゼ?」

下の名前は?

「教えない」

見抜いたのか、久世は舌を出して笑った。
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