溺愛ごっこ
「り、理人…?」

「かっこ悪ィな、俺」

理人が呆れたように呟いた。

「えっ、何が?」

理人はあたしから躰を離すと、ベッドに腰を下ろした。

「道に迷ったうえに、自分の女房をナンパされたことに怒ってんだもん。

かっこ悪いにも程があるよなあ」

理人はやれやれと言うように息を吐くと、髪をかきあげた。

「亜美の前ではかっこいい旦那でいたいのに…。

だから新婚旅行先も好きなようにさせたのに…。

なのに、こうだぜ」

理人はフフッと笑った。
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