百鬼夜行と暴走族 弍
洞窟を抜け昔の日本に似た町並みを歩き、ついたのは立派な旅館、幻遊館だ
薄暗いのかと思いきや、提灯で橙色に明るく照らされて、花も生けてある館内で人界の旅館とかわらない
玄関で一行を迎えたのは首が長くとぐろを巻いた女の妖怪
「よくぞ幻遊館へお越しくださいました、十六夜様方。お部屋へとご案内させていただきます」
赤い絨毯が敷いてある廊下をついて歩くとあちこちからひそひそ声が......
"おい、あれ十六夜様だろ!"
"獅蛇も、璢美苓もいるぞ..."
"十六夜様と璢美苓は敵対していたと聞いたが"
妖怪たちは小さい声のつもりだが、獅蛇たちには丸聞こえで顔をしかめた
「ちっ、これならあっちと変わらねぇな」
あっちというのは人界のこと
獅蛇はいらいらしている様子で早くも不機嫌になりかけていた