百鬼夜行と暴走族 弍
「ただいま」
「お帰りなさい!ゆっくり出来ましたか?……あれ、璢美苓は?」
「出来ました。璢美苓は直接帰ったの」
「そうですか。ゆっくり出来たようで何よりです……琉威たちが来てますよ」
ありがとう、と礼を言い先に獅蛇を琉威たちの所に行くように伝えて十六夜は天堂の元へ向かう。夫婦の部屋の前に膝をついて障子を開けると布団に寝転んでいる天堂
「戻りましたよ」
「…んぅ」
声をかけても起きない天堂に近寄って優しく揺すると寝返りをうって目を覚ました。十六夜を見るとふにゃっと笑って十六夜に抱き着いた
「お帰り」
「はい、戻りました……お土産あるの」
後ろ手にごそごそする十六夜を不思議に思い、起き上がり向き合う。紙に包まれた物を広げると湯飲みが二つ。それを見た天堂は笑って十六夜を抱き締めた
「ありがとう…」
そう言い眠りに落ちた天堂の腕からこっそり抜き出して琉威たちの待つ部屋へと向かう