百鬼夜行と暴走族 弍
生まれたままの姿の十六夜を見下ろした天堂は少し顔を歪めた。どうしたのかと思い天堂がじっと見つめている場所を見た
「ぁ…」
そこは12年前に刺された傷だった。腹部にある縦長の刀の刺し傷を天堂は数回撫でた
「これ、か………痛くねぇか…?」
泣きそうな天堂に微笑んだ十六夜は天堂の頭を抱えて胸に当てて撫でた。すぐに十六夜の胸は天堂の涙で濡れる
「大丈夫…思ったより小さいし薄くなったから……ありがとう」
天堂は顔をあげて十六夜を見つめた。十六夜はその瞳に見つめられる度に吸い込まれそうになる
「もう安心しろ、これからはずっと一緒じゃ。離れることはねぇ」
力強く言った天堂に涙を流して頷いた十六夜。そんな十六夜を愛おしく感じた天堂は深い口づけをして力一杯抱き締めた
「愛してる…」
「私も、愛してる…」
うわ言のように互いを呼び、そして何度も何度も愛してると囁き互いを求めながら離れていた12年間を埋めた