百鬼夜行と暴走族 弍



そのせいで話そうにも話せず十六夜にとっては無駄な時間だった



しびれを切らした十六夜は諦めて、櫁屋へと急いだ




「……十夜…櫁さん」



無事でいて――







「あぁっ十六夜ちゃん!」



「櫁さんっ、無事?」


櫁さんは腕に掠り傷を負っていた



「わたしはこの程度さ、だが十夜くんはわたしを庇って大怪我を負った上に連れていかれちまったよ…」



後半は涙声で両手で顔を覆って崩れた



そんな櫁さんを抱き締めて背中を擦った



「大丈夫よ、十夜は強いから最悪な事態にはならないよ」



これ以上不安にさせないように言ったものの、十夜は百鬼夜行の幹部で強い



その十夜に大怪我を負わせ、連れ去った



一筋縄ではいかない、と思った



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