百鬼夜行と暴走族 弍



「い、ざよい、様?」


どうして抱き締められているのか理解できず、ただじっとしていることしか出来なかった


身体中包帯を巻いているためやんわりとだ




「無事でよかった……」


ほぅ、とゆっくりと息を吐いて肩の力を抜いた



「十夜は私の弟みたいなもの。だから傷だらけの十夜を見て息が止まりそうになった」


力をあまり込めずに背中を擦る十六夜に十夜はされるがまま

いつもなら恥ずかしいし、恐れ多いため遠慮するが今は安心していた



「……」



「強くなりたい、誰かを守りたい力が欲しいのは私も一緒。誰かを守りたいっていうのを最終目標じゃなくて、自分のために強くなりたいっていう方がいいと思う」


「……」



「『私のために』じゃなくて『自分のために』で二人で強くなろう?」


「だから死んでもいい、なんて言わないで……」

< 246 / 393 >

この作品をシェア

pagetop