百鬼夜行と暴走族 弍
「い、ざよい、様?」
どうして抱き締められているのか理解できず、ただじっとしていることしか出来なかった
身体中包帯を巻いているためやんわりとだ
「無事でよかった……」
ほぅ、とゆっくりと息を吐いて肩の力を抜いた
「十夜は私の弟みたいなもの。だから傷だらけの十夜を見て息が止まりそうになった」
力をあまり込めずに背中を擦る十六夜に十夜はされるがまま
いつもなら恥ずかしいし、恐れ多いため遠慮するが今は安心していた
「……」
「強くなりたい、誰かを守りたい力が欲しいのは私も一緒。誰かを守りたいっていうのを最終目標じゃなくて、自分のために強くなりたいっていう方がいいと思う」
「……」
「『私のために』じゃなくて『自分のために』で二人で強くなろう?」
「だから死んでもいい、なんて言わないで……」