百鬼夜行と暴走族 弍
琉威を家まで送って来た十六夜と烏丸
「本当に大丈夫?無理しないでね…」
十六夜に抱き着いた琉威を撫でて離れると琉威がぼーっとしている間に十六夜と烏丸は飛んで行った
「…十六夜さん…」
無理しないで―――
「さて、これからどうしようか…猫さんたちの場所は…」
「普段、猫は散らばっていますが虎猫の居場所なら…」
烏丸が最初に来ると虎猫たちと落ち着いて話が出来ないかもしれないということで、十六夜は烏丸に帰るように伝えて一人で向かった。本家から何時間も飛んだ遠く、南の方だった
「この辺りの山は全部虎猫さんの……」
虎猫は山の奥に居ると言うことでしばらく歩くと大きな滝が流れていてその裏側に洞窟があった。そしてその中に入ると野太い声が洞窟にこだました
「何者だ、貴様」
目は赤く、毛は茶色く猫なのに三メートルはあり、尻尾は二本に分かれている
「十六夜と申します」
「十六夜…?そんな大層な方がはるばるこんなところまで何の用だ」
やはり大物。十六夜と名乗るだけで相手に何者か伝わる
「鳶雄さんが怪我をされて本家に偶然落ちてきました。そして猫族さんと鳥族さんの関係を聞きました…どうして急に…?」
十六夜の言葉を聞いた途端に虎猫は目を細めてさらに低い声を出した
「急に、だと?鳥共から手を出して来たんだぞ…仇をとって何が悪い」
十六夜は烏丸から聞いた話とつじつまが合わずに首を傾げた