百鬼夜行と暴走族 弍
「猫のくせに鳥に勝てぬとは滑稽だ」
せせら笑った烏丸についに怒りが頂点に達した虎
「鳥共に思い知らせてやれ!行け!」
「同士たちよっ、猫など恐れるなっ行くぞ!」
虎と烏丸の声を合図に何百万の軍勢がぶつかり噴煙があがる
両族が風をおこし、砂埃を舞い上げ戦っている中、怪しい影が……
噴煙に隠れてこそこそと、何かが岩影や崖の上へと避難するように逃げていく
「やめろ!」
「同士たちよ、手を止めよ!」
虎と烏丸の大声を合図にぴたりと大群が動きを止める
動きを止めたことで噴煙が風で流されていき、視界がひらけてきた。そしていっせいに周りを見ると
岩の上や崖の上からたくさんの狐が両族の戦を見物していた
狐たちは突然、戦うことをやめて自分たちを見ているためびっくりして慌てふためいた
「何故、ばれたんだ!?」
「作戦通りなはずだ!」
狐たちが逃げようとしたとき、十六夜が立ち塞がった
「そこをどけ!何者だ!」
「貴様、邪魔をするな!」
狐たちが怒り歯をむき出しにして威嚇するが十六夜には効かず、微笑むだけ