百鬼夜行と暴走族 弍
「こほっこほっ…ごめんね…」
影狼から顔を背けて小さく咳をした十六夜に鼻を鳴らして立ち上がり顔を舐めた
「肌寒いときはあるけどもう春なのに…ありがと、心配してくれてるのよね」
まだ喉の痛みがとれず、小さな咳が出る十六夜。日差しが気持ちよく、眩しそうに空を見上げた。十六夜の言ってることが分かるのか、今度は嬉しそうに顔を舐めた
「影狼の成長が楽しみ、狼牙みたいに立派になってね」
ワン、と返事をして十六夜の膝に丸まって寝始めた影狼の背中を撫でていた
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「総大将、気をつけて」
「またお茶でも飲みに来てくださいな、お待ちしてますから…」
「ありがとよ、じゃあな」
来た時は晴れて天気はよかったのにどんよりと曇っていた
見送ってくれた雁蔵と鶴に礼を告げて次の目的地へと向かった。出てきた時にはどしゃ降りだった
「どうすっかな、傘持ってねぇ…」
少しの雨なら走ってでも帰るがこの雨ならば到底帰れない