百鬼夜行と暴走族 弍



少しだけ雨宿りさせてもらおうと店の軒先に立っていた



この雨だ。妖怪も家に入り、通りには誰も居なくなってただ雨が激しく打ちつける音しかしなかった



少し経ったが雨は止むどころか先程よりも激しくなっていた


「おいおい嘘だろ…」


空を見上げていたが視界の端に赤いものが映りこんだ



「…」




目を向けると赤い番傘だった。激しい雨と番傘で顔や姿は見えなかったが、こっちへと向かってくる。近くで足を止めて番傘を少し上げた



「……十六夜」




天堂の前まで来て微笑んだ十六夜は番傘を折りたたんで軒先に入ってきた




「こほっ、……朝は天気よかったから傘持って行ってないと思って…」



「迎えに来てくれたのか……」



「えぇ、んっ……帰りましょ」




傘を貰って差し、十六夜を中に入れて歩き出した



だが時折、小さな咳をする十六夜を心配して肩を抱いた













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