百鬼夜行と暴走族 弍
「おぅっ」
笑って返事をしたが次の瞬間には目を細め眩しいものでも見るかのような視線を向けた
「強いなお前さんは、」
「...そんなこと、強かったら朔は隣にいます」
「いや、心がな」
「え?」
「普通は復讐心とかあるが…だがお前さんは殺したやつをどうこうしようとしてるわけじゃない。そんな状況で前を向いているお前さんはすげぇ」
「......進めてません。こうしてずっと泣いていたんですから」
「それが前に進むための手段だ、泣いて受け入れている最中じゃ、乗り越えて弟のことを忘れるよりも毎日思い出してやれ…泣かないからって乗り越えた訳じゃねぇし、泣くからって乗り越えられてない訳じゃねぇ……毎日泣け、ただ受け入れろ」
十六夜の目をずっと見つめ話していた天堂
こんなことは初めて言われた
一般論なら前を見て乗り越えろ、そうだ
ろう
だがこのひとは、乗り越えろと言わないし泣くなも言わない
逆に乗り越えるな、毎日思い出してやれ
予想外だった