百鬼夜行と暴走族 弍
それを天堂は分かっていたが止めはしなかった
「夜分に突然お邪魔して申し訳ありません、十六夜と申します」
少し微笑んだ十六夜に百鬼たちは忽ち顔を赤くして俯いた者も居た
それは神楽も然り
「総大将と夫婦になるつもりはないんですか?」
腕を組んで座っている天堂の隣に寄り添うように座っている十六夜に、百鬼たちがわくわくしながら聞くと天堂は手で制した
「おい、十六夜が困るからそれは辞めろよ」
はーい、とつまらそうな顔をした百鬼に十六夜は笑う
「十六夜さんが来てくれたことだし飲むぞ!」
二人を囲むようにして百鬼たちは酒を飲み、楽器を鳴らし踊ったりして十六夜を歓迎した
十六夜は久しぶりに楽しいひとときを過ごして笑顔を見せた
「…」
天堂は終始、笑顔だった十六夜に魅せられて十六夜の横顔をずっと目を細めて眺めていた