百鬼夜行と暴走族 弍




「毎日来るのか?」


「毎日は無理なので…月命日には必ず来てます」



墓標を撫でている十六夜を天堂は優しい目で見つめていた



「幸せ者じゃな」


「え?」


ぽつりと呟いた天堂に目を向けると墓標を優しい目で見つめていたが十六夜をそのままの表情で見つめた



十六夜はその表情に胸が高鳴った


「十六夜が頻繁に会いに来てくれるからな…」


「喜んでくれてると嬉しいです」



「喜んでるさ」



そう言って十六夜を正面から抱き締めた。今まで手を繋がれたり肩を抱かれたりしてきたが、正面からこうやってぎゅっと抱き締められたのは初めてだ



「あの…」


「…少しだけな」




されるがままにぎゅっと抱き締められていた十六夜。すごく安心して頭を天堂の胸に少し預けてみたら、天堂は十六夜の後頭部に手を添えて預けさせた


力は込めていないが天堂の背中に腕を回すと天堂は十六夜の頭を何度もゆっくり撫でた



告白はしてくれたが恋仲でもないのに抱き締めあっている


どうしたいのだろう、現状がよく分からない



でもどきどきする…






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