百鬼夜行と暴走族 弍



「いーちゃまっ」


一週間後、散歩をしていると道の向こうから小さい女の子が走って来た



天堂の家へ行ったときに仲良くなった雪女の子、雪梛(ゆきな)だ


母の雪女は戦闘中命を落としたため天堂や神楽が世話をしている


まだ五つくらいの半妖の童子


十六夜を気に入ったらしくよく十六夜に会いに来ては話をしている



「こんにちはっ」

 
にこにこしながら挨拶をする雪梛に目線をあわせるように屈んだ十六夜は雪梛の手を握って微笑んだ


「こんにちは」



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「十六夜様、どこに行ったんだ?」


十夜が大広間に来て十六夜がいないことを不思議に思い十夜は渋い顔をして将棋をしている翔炎と十史郎に問う



「散歩に行くって出て行った――あ"ぁっ、くそ!」



「とか言って、"あのひと"と逢瀬だったら…」


十史郎が負けて唸っていると翔炎がにやにやしながら十夜の肩に腕を乗せると鬱陶しそうに払いのけた


「おっ、怒らねぇ~」


翔炎と十史郎がびっくりして目を見張ると十夜は頭を掻いた


「あのひとならいいんだよ…」


そう言い残して大広間を出ていった十夜に二人は顔を見合わせて肩を竦めた




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