百鬼夜行と暴走族 弍


「気をつけて...」


「ご無事で…っ」


なかでも一際心配しているのはやはり十夜だ


「十六夜様、無事を祈ってます」


十夜としてはついていって護衛も兼ねて戦いたいがこの件は十六夜と朔の問題



十夜は首をつっこんでいいと思ってないため心配で堪らないが送り出すしかない



十六夜が過去から抜け出すためにも…



「ありがとう、待っててね」


「はい!」




最後に百鬼を見渡し今度こそ行ってしまった



天堂の解散を合図にそれぞれが不安を抱きつつも日常に戻っていった










十六夜が先ず向かったのは墓地。その中に朔の墓があり線香を燃やして花を供える


そして墓標の前に屈み、目を閉じて合掌する。誰も居らず木の葉が風でさらさらと音をたてるだけで心が落ち着く



「朔…仇をとろうなんて大それた事は考えてないけど、でもけじめをつけてくるからね…あなたの気持ちは無駄にしないから…」



立ち上がり、微笑みながら名残惜しむかのように最後まで墓を撫でてその場を立ち去った





そして琉威たちがこのことを知ったのは次の日の朝だった











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