百鬼夜行と暴走族 弍
「天堂さんは、平気なんですか」
優希が泣きながら天堂さんを見ると天堂さんの表情は険しくなった
「平気じゃねえよ、」
諭すような口ぶりで俺たちを見つめた
なら、どうして一人で行かせたの?
「ワシだって助太刀してやりたかったよ。だがこれは十六夜がワシたちと出逢う前、白夜叉としての、――個人の問題じゃ」
天堂さんもそう思ってるんだ…だったら俺たちは何も言えないよ
「否、個人個人の前に十六夜の考えだからな」
考え?
「十六夜が一人で行くと決めたんだ。いくら夫婦と言えどそこまで踏み込めねぇ。十六夜の考え、生き方を尊重するしかねぇじゃろ?」
だからこそ、ワシは12年も待ったんだ
そうか、天堂さんは十六夜さんを考ればこそ、想えばこそなんだ
やっぱりすごいや。俺なら心配で絶対に行かせない。…十六夜さんを考えて、信じて一人で…
「ワシたちも信じる。だからお前らも帰って来るのを信じて待ってろ」