百鬼夜行と暴走族 弍
「獅蛇が怖がらせたんでしょ。早く行きましょ」
肩が痛いがあと少し。十六夜を右に、璢美苓を左に肩を貸し歩き始めた
ダッ、ガリッと本家から足音が聞こえてきた
「狼牙の餓鬼じゃねえか」
すぐさま十六夜にすり寄り、足に顔を擦り付けて鼻をすんすん鳴らしている
甘えているのだ
「ありがとう。このひとを先に本家までお願い」
狼牙の子供は璢美苓を背中に乗せ本家まで走った
「まだ行けるか?」
「ええ、行きましょ」
本家の玄関には百鬼が集まり、十六夜を待っていた
もちろん、琉威たちもだ
琉威と優希は泣いて顔が涙でぐしゃぐしゃで優希はその場に泣き崩れた
破れた着流し、固まった血のせいで片目を閉じている。着流しに大量に付着している血の恐怖と生きていることに対しての涙だ