死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
魔王って、かなり年をとった威厳のある男性をイメージをしていたのだが、大きく裏切られた。
こんな小さい、しかも女の子が魔界の魔王だったなんて…っ!
衝撃に言葉もでなくなる私。
「死神さん、リストのことを魔王様に」
魔法使いの言葉にハッとなり、魔王に向き会う。
「魔王様、アナタが死神リストに載っています」
私のその言葉に、魔王は衝撃を受けた様子だった。
「わ、わらわは、まだ死にたくない!!」
ソファーから立ち上がり、魔法使いの後ろに隠れてしまう。
そこで私は、魔法使いがおかしいと言っていた意味を理解する。
確かに、“おかしい”。
こんな小さな子が、寿命を迎えたとは思えない。死相オーラも、見えない。
死期のきた者には、必ず死期のオーラが漂う。それを死相オーラと呼んでいるのだが、彼女には、それが漂っていない。
ちなみに、その死相オーラというのは、死神である私にしか見えない。
とにかく、寿命を迎えた者を担当している私の死神リストにこんな女の子が載るなんて、おかしい。ましてや悪魔の種族なんて長寿だ。人間より遥かに高い生命力を持つ悪魔の子が、こんなに早く寿命を迎えるはずがない。
魔法使いは、魔王が子どもだと知っていたのだ。だから、おかしいと思い、私と彼女を会わせたのだろう。
「どうですか?死神さん。僕のおかしいと言っていた意味、理解していただけましたか?」
「ええ…」
魔法使いの言葉にどこか上の空で返事をする。