死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
私は鎌をぎゅっと握る。
死神の鎌では生身の相手の身体を傷付けることはできない…。
チラッと魔王の方を見る。唇をぎゅっと噛み、顔を歪めている。
でも今は、とにかく、この子を守りきらなきゃ。
「まったく…。計画通りにはいかぬものだな」
「…………」
「天使…いや、今は堕天使だったな。あ奴に死神リストの細工を施させ、死神、お前に魔王サマを消去してもらう手はずだったのだがな…」
やれやれ、といった感じで私を見てくる大臣。
「お生憎様、私はそんな簡単な女じゃないの」
「致し方がない。それでは、自分で片をつけるとしようっ!」
「!」
大臣は、腰にさしていた剣を引き抜き、私たちの方に迫ってきた。
キンッと、金属がぶつかり合う。
「…っ」
剣圧が思ったよりも、強い!
ぐっ。と足に力を入れ、耐える。
後ろにいる魔王が心配そうに、「死神!」と叫んだのが聞こえた。
「ほう…。それが『死神の鎌』ですか」
余裕そうに大臣はニヤッと笑う。
再び距離を取った後、また剣が振り下ろされる。
「っ、」
受け身しかとれない私は、非常に不利だろう。それでもなんとか食い縛る。
「いつまでも、受け身ばかりではやられてしまいますよっ!!!」
「きゃっ!」
「死神!」
剣に耐えきれず、思いきり吹き飛ばされる。
「く…っ」
数メートル先の床に叩きつけられる。床に肩をぶつけてしまい、肩を押さえながら痛みに耐える。
大臣はふっと笑った後、吹き飛ばされた時に手放してしまった鎌を見て、転がった私の鎌を拾う。
「天使に聞いたが、リストに載っている者は死神の鎌で斬れるらしいなぁ!」
嫌な笑みを浮かべ、ゆっくりと魔王に近付いていく大臣。
「っ、あなた、まさか…っ!」
立ち上がろうとしたが、うまく力が入らず再び倒れてしまう。
そうしている間にも、大臣は魔王に近付いて行く。
「それ以上、わらわに近付くでない!」
魔王も必死で逃げようとするが、壁際まで追いつめられてしまった。
「大臣!」
私が、叫んだのと同時に大臣は鎌を振り上げる。
「さようなら、魔王サマ」
「!!!」
魔王は、ぎゅっと縮こまり衝撃に構える。