死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん




「魔法使い…」


「死神さん! 大事なくて、安心しました!」


魔法使いと魔王の元へ歩いて行くと、いつものヘラっとした笑いを浮かべる魔法使い。

なんだか、このいつもの魔法使いを見た途端、心から本当にほっとした。



「アナタ、なかなかやる男だったのね」


いつもの調子で私も話しかける。



「じゃぁ!今すぐ僕を……」


「全然、話の前後が合ってないでしょっ!?」



思わず突っ込みを入れてしまう。

本当にコイツはすごい奴なのか、ただの死にたがりなのか、わからなくなる。





「死神、…すまなかった」


ずっと黙っていた魔王が私のマントを軽く引っ張り、謝罪をする。


「いいのよ、別に。アナタが謝ることは何もないでしょう?」

「いや、此度のこと、すべてわらわの責任じゃ。魔界の問題に下界の者を捲き込んでしまった…」



シュンと、俯く魔王。




「それは違います!魔王様!!」


突然、女性の声が響き渡る。

3人で、声の聞こえた方に目を向ける。



「申し訳ありません!魔王様!」


申し訳なさそうに、顔を歪めた、レースまで黒色をした、全身真っ黒のメイド服を着た女性がいた。



「お主は…っ!」

魔王の知り合いなのか、驚きの声をあげる。




「やぁ。みんな!無事で良かったよ」


「キング!?」



そこに、キングまでやって来た。素っ頓狂な声をあげてしまう。



「ウィッチ、ご苦労様」

ふふっ。と笑うキング。


「ええ、本当に。仕方がないですが、これが僕の仕事なので」


「君は、口ではとやかく言うけど、何だかんだすべてこなしてくれるから、本当、優秀だね」



それには応えず、魔法使いは、ゆっくりと息を吐き出した。



「はぁー。キング、話しを反らさないで下さい」


「おっと、すまないね」








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