死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
Ⅵ.日常と死神ちゃん(終)
「お主たち、世話になったのだ」
魔王が魔界に帰る日。
私たちは、魔王の見送りに城の前に集まっていた。
「それじゃぁ、魔王ちゃん。元気でね」
また何かあったら、頼ってきてね。と魔王の隣にいる悪魔メイドに向かってウィンクするキング。
魔王は呆れた顔をしたが、メイドの方は顔を赤くしている。
「色々とありがとうなのだ、死神」
なんだか甘いムードが漂ってきた2人を無視して、魔王が話かけてきた。
「暫くは、魔界でゴタゴタの収束に忙しくなりそうね?」
私もキングとメイドを横目に流しながら、魔王と話す。
「うむ。だが、おちついたら、また来よう」
「ええ、待っているわ」
2人向かい合い、微笑む。
そんな時、急に魔王が俯く。
「………?」
どうしたのか、と屈んで顔を覗きこもうとした時、魔王が突然顔を勢いよくあげる。
「死神!お前に、わらわを名前で呼ぶ許可をしよう。ルルと呼ぶがいい」
屈んだせいで距離が近くった私にの顔にかって、ビシッと指を指しながら魔王は得意気な顔で宣言する。
「…ありがとう、“ルル”」
突然のことに驚いた私だったが、彼女の顔が少し赤くなっていることに気付き、ふっと笑う。
素直にルルと呼んであげると、魔王…いや、ルルは嬉しそうな顔をした。
「そ、それでじゃな、…お、お主の名前も……」
もにょもにょと言葉を濁すルル。
しかし、私にはしっかり聞こえていた。
「私?私の名前は…………」