死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
「…」
ちらっと顔だけエリストに向ける。
「ユリアさんっ!今日こそ、僕を殺してください!」
満面の笑みでそう告げるエリストがそこにいた。
「はぁ!?」
なんでこうなるのっ!?
「もういい加減、永遠の休みに入りたいんです」
「?」
はぁーっと大きな溜め息をつくエリストは、項垂れる。
なんだかちょっと心配になり、エリストに近づく。
「あ、あの…」
肩に手を置こうとした瞬間。
「ひっ!」
ガシッとその手をエリストに掴まれた。
「ユリアさんっ!お願いします!」
ギューと更に強く両手で握られる。
「いや、お願いします!じゃ、ないわよ!」
ふんっと思いきり手を振り払う。
「どうしてですか?」
「何度も何度も言わせてもらうけど、私は寿命がきた者しか狩れないの!アナタは、まだ殺せないの!」
「いえ!僕は諦めません!」
いや、あきらめて…。
今度は、私が項垂れてしまう。
だんだんと日が暮れてきた。
「そ、そろそろ私は行くわ…」
「行くならば、僕を先に殺ってから…っ!!」
後ろを向いた私のマントの裾をひしっと掴むエリスト。
「んもうーー!いやぁぁぁあああああ!!!!
」
もうすっかり暗くなった夜空に私の叫びが木霊した。
こうして、私の元通り(?)の日常が戻ってきたのだった。