死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
Ⅱ.魔王と死神ちゃん
「ふぁああ~~」
昨夜も無事、仕事を終わらせ家に戻って来た。
私の家は、空の中にある。
浮遊してるっていうのかな。
下界の土地に家を造る訳にもいかず、ここに落ち着いた。という訳だ。
今はお昼頃だろうか。
さすがに起きよう、と思いベッドから降りる。
「ふぁぁあ~」
またアクビをした時、
「大きなアクビですねぇ~」
私しかいないはずの空間に声がこだました。
ハッとして、目の前を見ると、あろうことか、にこやかな笑みを浮かべたアイツがいた。
目を最大限に見開く。
「なんでアンタがここにいるのよーーーー!!!!!」
「お昼休みなので」
「アンタ、仕事嫌がってる割にはちゃんとやってるわよね。…いや、そうじゃなくてーーー!」
ああっ!もうっ!と、玄関近くに突っ立ってる魔法使いに向かって、つかつかと歩みを進める。
「なんで、私の家にいるのかしら?」
腕を組み、イライラしながら問いかける。
「鍵が開いていたので、お邪魔させていただきました」
当たり前のことのように、爽やかな笑顔で言うものだから、一瞬、ああ、そうか。と納得してしまいそうになる。
「…って!!勝手に入ってくるのは、おかしいでしょーーー!??」
起きたばかりだというのに、さっきから叫びまくりだわ…。
「さぁあ!今日こそ僕を一思いに殺してください!」
さぁ!と両手を広げ、スタンバイする魔法使い。
「………………」
空中のお家というのは、いいものだ。
邪魔者が周りにいないということだから。人が来る訳が絶対ないから。
しかし、コイツは魔法使い。空が飛べる…。
「いやーー!忘れてたーーーー!!!」