死神の羨望
私だけの思い出
自殺するならば、死ね。
おかしな言葉だ。しかしながら、こうも思ってしまうのは、ひとえに『死なない奴』というのがいるからだった。
奇跡的に(と言うのも、おこがましいが)存命したは、ああ、まだ許せるかもしれないが、土壇場になって――例えば、飛び降りをしようとして、結局は臆病風に吹かれて自殺を中止する奴は、『何がしたいんだ』と言いたくなる。
憤りを感じるのは、『自殺の真似事』をする奴だ。
死ぬつもりなんか最初からない、周りに同情を求めようと、『自殺をする』。真似事を、芝居を、存命したいがための茶番を設ける。
自殺を“ネタ”として目立とうとする輩が嫌いだった。
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