死神の羨望


――焦がれて、しまうんだ。


「ああ、少しな。お前、きちんと睡眠はとっているか」


「え……」


「顔色が悪い。今日に限らず、いつも。今にも倒れそうじゃないか」


五十鈴のお人好しは、親しい間柄でなくとも実感できるが。


「『いつも』って……」


「言い方が悪かったな。あまりお前とは会う機会がないから、いつもとは違うが、私が見る限り、お前の顔色が良いときはない」


ズバリと臆面なく言う五十鈴に、川堀は口を塞ぐ。


返す言葉が見つからない。自分の顔色が悪いのは自覚しているし、指摘されたこともあるが――それをまさか、五十鈴にまで言われるとは思わなんだ。


太陽は、下界の人など意識しない。こちらが見上げるばかりで、あちらは余所を向いていると思っていたのに。


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