死神の羨望
「見ていて、くれたんです、ねぇ」
ならば、彼女の心配にならぬ顔でいたかった。反面、こうして接点を持てたことも嬉しい。
複雑な心境だからこそ、川堀は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「もともと、そう強い体じゃないものでして。顔色については、気にしないでください」
「今にも倒れそうな奴を無視できるか。同じ仲間ならば尚更だ。暖かくして、しっかり睡眠をとるんだぞ」
お人好しにしてお節介の五十鈴に、川堀はやはり“彼女らしい”と感慨耽る。
死神の掟を破ってまで、生きた人間と関わる――死に損ないを助けてしまう彼女は、自分とは真逆の存在だ。
なのに、彼女は自分の憧れ。
こうなりたいと――強く凛々しく、何よりも優しい彼女の隣に立てるように、相応しい自分でありたかったのに。