君がいるから


「え?」


女の子を見た瞬間、
俺の中で時間が止まった


「こ…なつ?」


その時、君は俺の中で
小夏そのものだった


君の存在なんかまるで
無視して君を小夏に
移し替えていたんだ



「あの、私優奈って
言います!今日から
よろしくお願いします」


「ゆなちゃんね-
私は千沙、よろしくね」

姉が優しく微笑む


「ほら、あんたも
名前くらい言いなさい!」


何も言わずにぼけっと
突っ立っていた俺を
見かねた母が俺の頭を
軽くはたくと女の子は
くすくすっと笑った


俺はポケットに手を
つっこんだまま
適当に言った


「晴輝です。え-と」

「ゆなちゃん!」

どもった俺を姉が
すかさずフォロ-する


「あ、そうだ優奈ちゃん
どうぞ、よろしくね」

そう言って俺は
にこっと笑うと
相澤家に一礼して
そのまま俺はふらふらと
さっき下った階段を
また上り出した


「晴輝?ご飯は?」

「あ-ごめん、なんか
調子悪いからいいわ」


そう言うと姉は、
「そう」と言って
それ以上は何も
聞かなかった
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