俺の大好きなアイツ。
「仲直りできたのか?」
心配そうに風磨が聞いてきた。
「…だめだ。……俺、失恋した…」
「…はっ!?何を根拠に?てか、絶対
 そんなはずないんだよな…」
あーでもない、こーでもないと風磨は
一人でぶつくさ言い始めた。
「とにかく!諦めんな!!…そーだ!
 帰り、一緒に帰ろうって誘ってみたら?
 家、このまえ教えてもらったでしょ」
「……断られるから」
もう落ち込みたくないからな…。
「…そうやって逃げて、自分が傷つきたく
 ないからだろ!?堂々と立ち向かえよ!
 後悔してもおせぇんだよ!
 …弱気になってんなよ」
「………」
風磨は怒って帰って行った。
…何だよ、アイツ。
後悔…か。
確かにな。
何、逃げてんだよ、俺。
格好わりぃ。
結局は自分のことで精一杯だ。
情けない。
…ありがとう、風磨。
お前のおかげで気づいた。
俺、もっと、頑張ってみる。
俺の諦めがつくまでな。
たとえ、アイツに好きな奴がいても
俺のこと、好きになってもらう努力を
すればいいじゃねぇか。
諦めたら、そこで終わりだ。
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