地図の中の小さな絆(3p)
死亡通知。
行方知れずになっていた父親の死を告げられたのは、その死後すでに二週間が過ぎてからだった。
しかも、連絡は北海道から。
どうやら心筋梗塞らしい。
年度末の忙しい時期だというのに、もう最悪。
義父と暮らす母に頼むわけにもいかず、会社に無理を言って休みをもらった。
死んでからまで迷惑をかけられるとは思ってもみなかった。
遺骨を引き取り、早々に引き上げようとしていると、呼び止められた。
遺品があるという。
尋ねるとそれは車らしい。
そう言えば、あの人は大の車好きだった。
無断でイタリアの車に買い換えたり、真冬の寒い時期にオープンルーフで走ったり、何かと母の機嫌を損ねた。
そしてあの日、車で出かけたっきり二度と帰ってこなかった。