淫らな月

~壊れていく関係~

新学期早々の雨の日・・
あのカップルはいるだろうか?
同じ駅から乗る二人・・
彼は多分サッカー部・・朝練のためだろう
7時過ぎの早い時間の電車に乗る・・
彼女はマネージャーかもしれない・・

今朝は彼だけが電車に乗った・・彼女は?
同じ車両に乗って様子を見る・・
彼の感じが変わった・・
爽やかな感じだったのになんか疲れているような気がした・・
少しカッコがだらしなく見える・・
それになんだろう彼から・・
彼の制服から女物の香水の匂いがする・・
化粧品の匂いも・・彼女が使わないような強い匂いの
おかしい・・
私は次の日も同じ時間の電車で通学した
やっぱり彼だけだった。

帰るときはどうだろう・・
私は電車を彼らの高校の駅で降り、ホームで待った・・
彼女だけが早い時間にホームにきた・・ 
部活に出たにしては早い時間・・
私は彼女を観察しながら一緒に電車に乗った。
美少女という言葉がぴったりの彼女・・
男たちの視線を集めている
彼女はそれに気がつかないのか何か悲しそうに下を向いてる
さっきから男の視線が気になる・・
彼女を舐めまわすような視線・・
ぼーとしている彼女に近づいた・・
一緒に降りようとしているのか後ろに立っている
髪の匂いとか嗅いでいて気持ち悪い・・
後でも付けられていたずらでもされたら大変
私は彼女と男の間に入って出るときに急いでいるふりをして彼女を押した
そして私はサブバックを落として中身をバラばいた・・
「ごめんなさい」なんて言いながら彼女の腕を取ってさりげなく引き止める
「大丈夫?」と言いながら彼女は一緒に散らばったものを拾ってくれる
男はちっと舌打ちしてまた電車に乗った・・
良かった・・
私の荷物を拾って「はい」って笑顔で渡してくれる彼女・・
優しく綺麗な彼女・・
守ってあげたい人・・陰ながらだけど・・
私は彼女に気づかれないように後をつけ家まで帰るのを見届けた                 
そして電車で引き返しホームで彼を待った・・
























< 15 / 154 >

この作品をシェア

pagetop