淫らな月
私は一年前白い綺麗な猫を拾った・・
満月の夜・・今日のように母の墓地に行った・・
悲しくて・・
母の墓地の近くには桜の木があった・・
ちょうど桜の季節でとてもきれいだった・・
桜の木を触ってていたらうずくまっている猫がいた・・
白い猫でけがをしているようだった・・
年齢もいっているおばあちゃん猫だった・・
私は家に連れて帰りたかったがそれもできず偶然この廃屋に連れてきた・・
ここなら屋根もあるし、廃屋のわりに建物もしっかりしてて猫が休める・・
どうして家に連れて帰らないかというと
私たち狼族は遠い過去のせいか今でも猫が嫌っている・・
でも私は昔から猫が嫌いじゃなかった・・
連れて帰るにしても父の承諾が必要だからだ・・
私は猫のけがを水道で洗って綺麗にした・・
翌日父に部屋の中で飼うならと承諾を得、現在にいたっている・・
「桜?・・猫ならいるけど」
なぜかその猫の名前を考えたとき桜と頭に浮かんだ・・
というか桜と声が聞こえた・・それだけだけど
「どんな猫だ・・」
「白くて綺麗だよ・・眼が少し赤い・・
おなかに桜の花のような模様があってそこだけピンクになっている」
「会わせてくれないか・・」
「いいけど・・家の人・・猫だめなんだ・・
そっと抱いて部屋に連れて行くからおとなしくしてもらえるなら・・」

私は部屋に黒猫を連れて入った・・
桜はもう高齢で一日中寝ているような猫なのに
黒猫を連れていったらすぐに起きて黒猫のほうを見た・・
「桜花?桜花か?」黒猫のつぶやきが私の頭にも聞こえた
「青様?青様なの」桜のつぶやきも聞こえた・・
「夢のようです・・長い間お会いできなかったので・・」
「私もだ・・今回も会えないと思っていた・・」
「はい・・私もです。私はもう16歳・・
猫の寿命はとうに来ているので・・最後にお会いできてよかったです」
「私もだ・・お前の寿命が無くなるまで一緒にいたい」
体を擦り寄せ寄り添った・・
二匹の様子を見てよかったねと言いながら涙を流した・・


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