淫らな月
それから私たちは仲良くなった…
大地くんは美桜ちゃんを一人にするのは心配だけど自分一人で守るのは正直大変だったそうで私たちが一緒にいるのは助かると喜んでくれた…
私たちは夕飯の買い物をして一緒に帰った…
美桜ちゃんは料理がすごく上手なので教えてもらいながら作るのはためにもなるし…なにより友達がいなく母を早く亡くした私にはとても楽しかった…
もうすぐバレンタインデーという日…
美桜ちゃんがチョコの材料を買ってるので大地くんのかなって思って聞いたら大地くんのとアメリカの彼にも作って送るそうだ…
彼にあげたい私は私も誰かにあげたい…大地くんのとアメリカの彼にも一緒に送って欲しい
と美桜ちゃんにお願いした…
美桜ちゃんはそれいいね…喜ぶよ…セイくんも…
と言ってくれた…
私はちょうど梅季節なので梅の花で押し花を作ってカードも作って一緒に入れよう・・押し花はしおりにしようかな・・もし気に入ってくれたら一緒にいるような気になれる・・
無邪気に考えていた・・
そして今日・・
大地くんは部の用事で遅くなるのでいよいよチョコレートを作るという・・
昨日梅の花で押し花を作ってしおりにしてきた・・
良かったら食べてくださいとメーセージカードも用意した・・
夕食の下ごしらえ後のチョコレート作り・・
遅くなっているのも気がつかなかった・・
チョコレートは型に移してあとは固めて取り出すだけとなった・・
今日は満月だった・・そう満月だったんだ・・
道路で車が止まるまで忘れていた・・
浮かれていたんだな・・私・・
初めて渡すバレンタインデーに・・
ピンポーンと私を今日という現実に戻すチャイムがなった・・
そう兄が私を迎えに来たんだ・・帰りが遅い私を・・
兄は満月の夜は一緒に夕飯を食べることを私に義務づけていた・・
満月の夜のたびに兄に抱かれる私にチョコなんて・・
「ごめん・・美桜ちゃん・・兄が迎えに来たみたい・・
チョコ・・送るのやめる・・出来たら置いといて・・一緒に食べよう」
「どうして?梅香ちゃん・・」
「やっぱり・・知らない子から送られても気持ち悪いよ・・じゃあね」
そう言って急いで兄のところに行った・・
急ぎすぎてカードや押し花をそのままにしてしまった・・

< 34 / 154 >

この作品をシェア

pagetop