淫らな月

~大地side~

「ただいま~」
今日は部活の用事で遅くなってしまった・・
今までは美桜の顔を見るまで心配だったが
あの子・・梅香ちゃんが美桜といてくれる・・
本当に助かる・・美桜には女の友達がいない・・
あんなに優しい子なのに・・優しすぎるのかもしれない・・
それに綺麗すぎるのも・・女の子たちの陰口の対象になってきていた
でも梅香ちゃんは違っていた・・
美桜のいいところを見つけて純粋に羨望の眼差しを向けている・・
時には切なさまで感じてしまうのはなぜだろう?
彼女は自分のことは話さない・・
無邪気な美桜が聞くことに当たり障りのないことを答える・・
多分嘘はついていない・・でも深い部分は言ってない気がする・・
彼女は可愛い子だ・・少し地味だが・・
今時黒くまっすぐな背中まである長い髪・・
それを両側でかわいいピンで留めている
そして大きめの黒縁のメガネをかけている・・
でもわざと地味にしている気がする・・本当は違うような・・
そんな気がする・・
彼女が美桜を助けた日・・俺のことを大地くんと呼んだ・・
美桜は大ちゃんとしか言ってないのに・・
実は彼女のことは前から気になっていた・・
離れたところから気がつかれないように俺らを見ていたことも・・
俺があの女と一緒にいるときに心配そうに見ていたことも・・
そして・・泣き出しそうな顔で添島をそっと見ていたことも・・
多分美桜を助けたのも偶然じゃないような気がする・・
あの女との一件があってから俺も用心深くなっている・・
しかし彼女には悪意というものが感じられない・・
むしろその逆・・彼女には孤独が感じられた・・
美桜と一緒で友達がいないんではと思う・・
美桜という友達の存在を喜んでいるように思う・・
だから俺も安心して彼女に美桜を頼める
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