淫らな月

~小夜side~

梅香ちゃん・・
私の8歳も下の女の子だ・・
胸が大きくウエストは細く手足も細い・・しなやかな体・・
羨ましい・・
彼女は色が白く本当に綺麗な子だ
でも彼女は赤い眼、赤い髪の両方を持っていた・・
人工的にそうする子はいる・・
でも生まれつき・・というのは無いだろう・・
それが余計に彼女を美しくする・・
でも彼女は自分を美しいなんて思ってない・・
むしろ醜いと思っている・・
それはどうして?
彼女の兄の誠一さんのせい・・
誠一さんは彼女を守るためかもしれない・・
変装し、深く人と関わることを禁じた
独占欲・・歪んだ・・
たとえ変装していても美しい彼女を本当に愛する人は出てくると思う・・
でも彼女は兄のいいつけを守って人との関わりを避けている
そんな彼女に相思相愛の相手なんて見つからないだろう
彼女は満月の度に自分の兄に抱かれている
それは私がこの家にくるずっと前からだろう・・
満月の夜・・そっと部屋を抜け出す彼・・
満月の夜に相手をするために私はここに来ているといってもいいのに
私は彼のあとをついていった・・
気づかれないように離れて・・
しばらくして彼女の部屋から振動がしだした・・
まさか・・
彼は疲れた様子で部屋を出てきてそのまま浴室へ向かった
彼女のすすり泣きが廊下に響いた・・
浴室から出てきた彼は激しく私を抱く・・
それは満月の度・・
それでも彼を愛している・・彼が愛してるのは私ではない・・
梅香ちゃん?彼女でもない・・
誠一さんは狼族に囚われ・・過去の叶わなかった恋に囚われている
私に何ができる?
そして今日は梅香ちゃんの17回目の誕生日・・
私はこの不幸の元であるあの人に私の知っている全てを話し彼を彼女を救ってくれるよう願いした・・
私はもう誠一さんのそばにはいれないかもしれない・・
それでも今よりはいい




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