淫らな月
「あんなこと?って何なの」
美桜ちゃんが私に聞く・・答えない私に・・
今度は大地くんを見る・・・
大地くんは知らないんだろう・・首をかしげている・・
「二人の前で言わなきゃいけないの?」
「ああ」彼の顔は話さないと許さないと言っている・・
これも罰?そうだよね・・
理由はどこから言えばいい?きっと私はここにはいれない・・
それを分かってる?私の置かれている状況なんて知らないくせに・・
綺麗なあなたに私のことなんて分からない・・
私は眼の前の頬杖をつく彼に見当違いの怒りを覚えた・・・
「わ、私が彼の部屋に忍び込んで彼を襲ったの睡眠薬で寝かせて」
「えっ・・梅香ちゃんなんでそんなこと・・」
「一目見て好きになったから・・」
「でも・・そういうことってお付き合いしてからじゃないの?」
「そうできればそうしていたよ・・私だって・・
自分の容姿のことを考えて諦めていた・・
でも耐えられないことがあるから・・どうかしてたかもしれない・・」
「耐えられないことって?」
それを言ったら私はもうここにはいれない・・
「その前にあなたに聞いていい?
どうして起きてたなら拒否しなかったの?
私のことが怖かったから?・・赤い眼と赤い髪の女なんて・・」
私は彼をまっすぐ見つめて聞く
「もちろんびっくりしたよ・・目が覚めたら君が僕を裸にしていたから・・
でも君が綺麗で心が奪われてしまった・・」
彼もまっすぐ私を見てそう言った。
そんなことないだろうけど
言葉だけでもうれしい
「ありがとう・・その言葉だけでこれから生きていける・・
ごめんなさい・・あんなことして・・でも私には必要なことだったの・・
全てを話したらきっと私のことを汚いと思うだろうけど・・
話すね・・それが私のあなたへの義務のような気がするから・・」

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